和食 恵比寿 くろいわ 店主 黒岩宏達さん

本当にその食材にあった包丁を使うこと。
当たり前の事を当たり前にして行く事を、一番大切にしています。

和食の場合は、包丁の種類が段違いにありますよね。昔はもっといろんな種類がおそらくあったと思うのですが、それが淘汰されていって今残っている。例えば、鱧切り包丁は、刃渡りも長く、鋼もたくさん使って、それ1本で他の包丁が2、3本作れそうなほど大きいじゃないですか。でも、鱧の背骨を切る事以外は一切使わない。大根を切るわけでも葱を切るわけでもない骨を切るだけの包丁。そこだけ見ても、和食は、切り方、切り口にこだわっている証拠だと思うのです。僕は、本当にその食材にあった包丁を使うこと。そして、その当たり前の事を当たり前にして行く事を、一番大切にしています。
僕が持っている包丁は、最初の頃のも含めて20本くらいあります。包丁の持ち方一つ、なぜこういう風に持つのかという、全て理由があって、それを基本に忠実にやることを心がけています。僕の包丁の研ぎは、本来の形のまま小さく研いで行くタイプです。買ったばかりの包丁の形って、これまでの、代々の料理人の方々の希望を取り入れてきた、一番いい形だと思うので、その形を壊さずに研いでいくことを意識しています。


恵比寿くろいわ 写真
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僕の中の料理のイメージとしては、日本の歳時記を入れたものでありたいと思います。例えば、冬至には小豆粥を食べましょうとか、1月になって七草粥を食べましょうとか、そういった日本のお料理の「食文化の本来の流れ」を大切にしています。ただ単純にお粥を食べましょうとかではなく、七草粥の理由は、お正月に暴飲暴食をしたお腹を休めましょうというのが七草粥ですね。そういう部分まで料理に踏まえて作っていくのが、僕たち料理人の大切な仕事なのだと思っています。そしてそれを伝えていくこと。料理屋がやらなかったら、たぶん日本から消えていってしまいますものね。料理プラス器やカウンターの傍の飾りなども、全て決まりごととしてつながりがあって、そういう空間の中で、お食事をとって頂く。大人の娯楽として、お客様に楽しんで頂くことが、僕のこだわりの部分です。

自分がどれだけ包丁に対して、食材に対して、器に対して、
日々の生活に対してプライドを持っているか、という事がプロ。
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■包丁に対する想いを教えてください。
包丁だけでなく、「すべて大事にする」って事ですね、愛情を持って。それから後輩たちにはいつも、「プライドを持て」と言っています。なぜなら、料理人の場合は、どこからがプロかという境界線が無いですよね。調理師免許を取ったらプロか、というとそうではないし。では、料理屋や料亭で働いているからプロかというと、それだけでもプロではない。自分がどれだけ包丁に対して、食材に対して、器に対して、日々の生活に対してプライドを持っているか、という事がプロだと思うのです。ですから、自分がプロだといえるよう、包丁を磨き、研ぐ。この包丁は、世界で一番切れるよって、胸張って言える包丁を常に持つこと。そのためにも、きちんとプロの職人さんが作った包丁を買うのも大事なひとつだと思います。


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和食【恵比寿くろいわ】
〒150-0013
東京都渋谷区恵比寿1-35-3
営業時間 18:00~22:00(ラストオーダー)
定休日日曜日